Friday 6 July 2007

Patagonia・・・

イヴォン・シュイナードは『Patagonia』の創業者・オーナー。


『Patagonia』の服(この場合はウェアーか)を初めて買ったのは、1986~7年ぐらいだと思います。まだ直営店がなかった頃で、『これからハヤるブランド』だと聞かされて並行輸入のワークパンツを買ったのでした。これがもう見事にゴワゴワの生地で、ごていねいにも前は膝の下からポケットまで、後ろはお尻が二重になっていました。同じ生地を使ったショート・パンツは置くと自然に立ってしまうほどゴツイので『STAND UP SHORTS』と名付けられたぐらいで、このズボン1本でパタゴニアというメーカーがそれこそクライミングのピトンのようにワタシに打ち込まれたのでした。


その後も自分の仕事はアウトドアーだ、とうそぶいて結構パタゴニア・ウェアーにハマってました。そんなこんなで(どんなだ)『社員をサーフィンに行かせよう(原題・let my people go surfing)』を読んでみた。


まあ、かなり風変わりな経営論といえばそれまでの話で、地球環境の保護を目的とする寄付を行うための会社経営だという、この経営方針をそのまま受け入れる経営者はまずいないと思う。

『Patagonia』は株式の公開をしていないイヴォン・シュイナードの個人会社だから、その社長が書いた本は経営論ではなく哲学書か?利益優先の株主中心の会社経営では不可能な会社の経営のしかただ。会社を立ち上げるにあたっては、著者も会社経営の目的についてかなり悩んだ事が書かれている。


読み進んでいくと何もかもが理想的な会社で素晴らしいと思うけれど本当かね?と疑問がわきますね。エコロジーを謳ったコストダウンじゃない?とか、オーガニック原料だから高い値段もしかたがないのかな?と思ってしまう。アメリカでも日本でもパタゴニアは高価格なのは間違いないので、企業に『環境税』をとられている気もする。


本の中では高価でも多目的に使えるウエアーを長く使うとされているけれど、カタログが出るたびに新製品を載せているし 、同じ機能しか持たないはずのTシャツがプリントが違うだけで何十種類もあったりするのにはとても違和感がありますね。
また、もっとも気になるのは『Patagonia』自体がアウトソーシングで成り立っている会社であって、自社工場を持ってはいない。自然にやさしい下請けしか使わないとしているものの、人件費の安い外国で製品を作らせているわけで、やり方としては他の地球に優しくないメーカーと変わりがない。海外で作って納入させると輸送時に石油を消費するのはよくない事だと書いているにもかかわらずその解決法は提示されていない。

『patagonia 』本体は理想的な会社だというのはよくわかる。(ちょっと意地悪)

これからの会社のあり方は『Patagonia』の様な経営を目指さないかぎり地球を痛めるばかりだ。イヴォン・シュイナードが言っている様に地球がなければ株主も会社も消費者もいない。

どんなに個人で環境保護に努力しても、会社規模で取り組む方が効果が大きいし、早い。また会社はその事を広告としても使う事が出来るのだから。『Patagonia』という会社は未来の会社の形を見せてくれているのだと思う事としよう。

あのゴワゴワのワークパンツが懐かしいですが、2007年の秋からはリサイクルナイロンのワークパンツが発売されるそうナイロンは蒸れそうだけれど、ゴワゴワよりも良いかな。