Wednesday 10 September 2008

THE DARK KNIGHT....















『THE DARK KNIGHT』を観てきました。


前作の『BATMAN BEGINS』から監督がクリストファー・ノーランになって、ずっと続いてきたシリーズがいちおうリセットされている。『バットマンになるまでの説明』的な前作から本格的な活躍が始まる作品になるのだろうと思っていました。ですが、ジョーカー役のヒース・レジャーが公開前に薬物死して話題となり、それはこの映画に出演するにあたり演技に悩んでいたから云々、などの情報があったので、それほど凄いジョーカーなのか?と興味はそちらに向いたりしていました。

ヤジウマ感覚でそのあたりも注目して観てみる。確かに迫力のあるジョーカーでしたが、悩んで死んじゃうほどの事じゃないな、って気がしました。みんなどの役者も悩むだろう。だからって麻薬をやっていたらきりがない。みんな悩んで大きくなった(古っ)。クリスチャン・ベールもバットマンがジョーカーに喰われてしまうんじゃないかと悩んだと伝えられているしねー。

この映画の迫力は(もちろん)監督の力量によるところが大きい。ティム・バートンもダークな色調でアンタッチャブルな1950年代の雰囲気なのに現代、という独特の描き方をしていましたがクリストファー・ノーランはかなりドライな感じにしている。オチャラケ風なところが一切なくてリアルなバイオレンスってやつですか。

『ダーク・ナイト』自体にあふれているテーマは、『悪と戦っている正義』と証する人間にどのくらいその実行力があるのか?正義の味方ではなくても世の中の人たちに『正義』を守る意思があるのかをジョーカー(悪)に試されるという事だと思います。ジョーカーはここではお金も権力も必要としない、ただ『悪』の象徴として存在しているので失う物がまったくない。普通の人は家族とか財産とか守るものがたくさんあるので正義を実行するためにどこまで犠牲を払えるのか問われてくるのですね。その部分が『正義』の大きな弱点であるのがよく分かる。検事とか、刑事など現実の世界でも存在する人たちも、お金(賄賂)とか脅迫されたりとかで腐敗して『悪』になってしまうわけです。

バットマンも普段は大金持ちで払える犠牲は大きいわけなのですが、恋人とかは犠牲に出来ないのでつけ込まれて苦しむんですね。しかも『悪』といえども殺人はぜったいしない。またそこを弱さとして漬け込まれるのですが・・・そして最後には自分が罪をかぶって追われることになる。


フィクションなのにもの凄く(?)重いテーマなので見終わった後は決して楽しかった、面白かったといえない映画でした。その前に見た『ノーカントリー』も『悪』に対してなすすべがない保安官が描かれていた。これもヘビーだったな。レイト・ショウでどちらも見たんですが、夜遅くこういう映画を観てしまうとうちに帰るまで落ち込みっぱなし。