Friday 30 January 2009

ハドソン川の『奇跡』・・・

『奇跡』は5分間で起きた。


でも、これは奇跡などではなくて機長(とコ・パイロット)の判断と操縦技術によるところが絶対的に大きいと思います。だから、シュレンバーガーさんでしたっけ?機長は『奇跡』と騒がれるのは心外なのではないですかね。

『状況を合理的に判断したら、ハドソン川に着水するのがベストだった。』とかクールに言いそう。

ジェット機というのは10,000mくらい上空でエンジンが全部止まっても100kmくらいはグライダーのように飛べるそうなんです。でも今回の場合は上の図を見ても3,200フィート(1,000mくらい)の高度で動力を失っているので遠くまで飛べない。

後2、3分でニューヨークの大都会の真ん中に墜落してしまうのが分かりきっているなかで、判断を迫られた場合に冷静に対処するのは並大抵の精神力では出来ないと思いました。本人もテレビのインタビューで『私は興奮したり、あせったりしたことがない』と言い切っていたそうですから、このキャプテンが操縦している時にバードストライクがあって良かった、って事になるのでしょうか。

また、乗客よりさらにラッキーだったのはUSエアウェイズの会社の人ですね。『乗客全員死亡』なんて大事故になったら、賠償や何やらで、ただでさえ青色吐息の航空会社は一気に倒産してしまうでしょうから。

『奇跡』といえるのは、天候が良かったことですかね。吹雪とかで視界が悪かったらハドソン川も見えないだろうし、橋とかにぶつかったかも知れない。天気の詳しい情報は知らないけれど、風もあまり強く吹いてなかったみたいで、そのことも無事着水できた一因なのでは、と思います。強い風が吹いていると飛行機がどちらかに必ず傾くので、一瞬でも片方の翼が水についた瞬間に機体が転覆する恐れがあるからです。

『不時着水 Ditching』は航空業界では『してはいけない事』になっているらしく、積極的にパイロットが選択するやり方でないそうです。でももし、『123便』が不時着水していたら・・・ちょっと不謹慎か。

Airbus A320は不時着水するときに、『Ditching Button』というのが付いていて、機体下面に開いている穴をすべて閉じて水の上に浮いている時間を長引かせるのだそうです。ボーイングにはついているのかな?もしついていなかったら、これまたエアバスに乗っててラッキーってことになりましょ。

2つついているエンジンが同時に止まることはないといっていた飛行機製造会社。『奇跡』のような事故が本当に起きてしまった訳で、これからもそんなことは有り得ないと言うんでしょうか?そう毎回シュレンバーガーさんみたいなパイロットが操縦してもいられないでしょうから。