Friday 24 October 2008

In My Car....


今年の夏に『店番』の人が車内に牛乳をこぼしまくる事件がありました。


そのお陰で、動物性たんぱく質が空気中の常在菌によって分解される過程で出るニオイを全て嗅ぐことができました。最初は生クリームのような香りで、子供も『いいニオイ』と言っていました。時間が経つにつれそれは『生ゴミ』になり『魚のトロ箱』のようなニオイに変わり、夏の暑い盛りにドアを締め切った車に乗り込むのはかなり刺激的な作業となったのでした。

ワタクシはいかなる『芳香剤』も嫌いなのですが、悪臭に耐えかねて『車内フレグランス』なるものを購入せざるを得なかったのです。香りの違いで同じメーカーの物をふたつほど購入したのですが、ふたつめ(1個目が終わるまでに悪臭が消えなかった)のパッケージを開けてセットしたのですが・・・

ふたつめの香りは『コットン』の香りとパッケージに書いてありました。そして車に乗り込んだ瞬間、ものすごく『懐かしい』匂いを感じたのでありました。どこで嗅いだのかと思い出す間もなく突然『悲しみ』の感覚が押し寄せてきて、ほとんど涙が出そうになってしまったのです。

ある『香り』を嗅ぐことで記憶が呼び覚まされることはあるのですが、このときは記憶や思い出を呼び覚ますこともなく、突然涙がこみ上げてくる感じだったんです。

まず最初に『香り』に係わる『記憶』を思い出して、その時に感じた感情がよみがえるってくるのが普通じゃないですか?楽しかったことや、悲しかったことでも。

『なんにも前頭葉にヴィジュアルが浮かばないのに、涙が出るほど悲しくなってしまう。』ことは、自分自身でものすごく混乱してミニ・パニックになってしまうほどインパクトがありました。 もしかしたら、すこしばかり自分の精神に異常をきたしたのかと。その感情の盛り上がりは一瞬だったのですが、あとからも自分のそのパニックぶりが不思議でしょうがなかったですね。

昔にみた『脳』の実験で麻酔をかけて頭蓋骨を取って、脳みそに直接電極をあてると音楽が聞こえたり匂いを嗅いだような錯覚を起させるというのがあった。それにものすごく似ているような気がしました。

『コットン』の香りはいまでも車内にセットしてあるのですが、あの感覚はただの1回だけなのでした。思い込んでいたようなドギツイ香りでなくて、ほのかに香る品のよい香りなんです。さすがイタリア製。¥1380ですが。